【水を主原料とした、未来の撥水技術】PFOS・PFOA不使用、水系の超撥水塗 料を開発

2025.08.12

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吉川工業は、水を主原料とし、非常に安価に製造可能な超撥水塗料の新製法を開発しました。本製品は、揮発性有機化合物(VOC)の発生が少ないうえ、人体や環境への有害性が指摘され、世界的に使用規制が進むPFOS・PFOAなどのフッ素化合物を使用していないため、安全性の高さがポイントです。さらに、一液性の塗料のため、塗布作業が簡便で作業効率が高く、施工コストの削減にも寄与します。

塗布するだけで優れた撥水性能が得られ、雨水や泥水を弾くことで、水垢や泥はねの抑制、防汚効果が期待できます。特に、土木・インフラ分野においては、コンクリート構造物や擁壁への塗布により、劣化要因となる水や海水の付着を抑え、構造物の長寿命化に貢献します。こうした特性から、高速道路や橋脚などの社会インフラを対象とした大規模案件での導入が期待されます。

超撥水塗料開発に至った経緯
疎水性シリカ粉体は高い撥水性を有しており、この粉体を塗料としてコーティングすることで超撥水機能を実現できれば、多くの社会インフラや工業製品の耐久性向上に貢献できると考え、当社は本研究に着手しました。従来の超撥水塗料の多くは、多量の有機溶剤を含み、揮発性有機化合物(VOC)の発生や、世界的に使用規制が進むPFOS・PFOAといったフッ素化合物を含有していることが大きな課題となっていました。
そこで当社は、水を主原料とし、疎水性シリカと少量の有機溶媒等を用いた配合において、最適なバランスを追求。高速攪拌機による均一な分散技術と組み合わせることで、高い撥水性と耐久性を兼ね備えた新たな超撥水塗料の開発に成功しました。
この製法により、従来製品と比較して原料コストを大幅に削減することができました。本技術はすでに特許(特許第7578233号)を取得しており、現在は最適な用途に向けた検討を進めています。

超撥水塗料の特長
①高い撥水性

 ▷水の接触角が150度以上という超撥水性能を有する
②従来の商品より原料コストを大幅に削減

 ▷一般的な撥水塗料はPTFEといったフッ素化合物や多量の有機溶媒が使用されていますが、疎水性シリカと水を主原料としている当社技術では原材料コストを大幅に削減可能と試算
③人体・地球環境への影響が少ない
 ▷揮発性有機化合物(VOC)の使用量が少ない
 ▷使用規制が進むフッ素化合物(PFOS・PFOA)を含まない
④作業負荷軽減と省力化による作業効率の向上
 ▷一液性塗料のため硬化剤を混合する手間を省き、また、常温で硬化する

仕様
原材料:水、疎水性シリカ、水系樹脂、有機溶媒
使用法:スプレーガン、刷毛等で塗装する
効 果:素材に塗るだけで超撥水性を付与
     (水系の液体であれば砂利等の固形物が入った泥水も弾く)
用 途:コンクリート構造物や擁壁の雨水・海水付着防止対策
     氷柱の付着防止/苔・泥はねの抑制/アンテナ等における電波減衰の低減