溶射

溶射とは、溶融あるいはそれに近い状態にした溶射材料を、加速して対象物に高速で衝突・積層させ、皮膜を形成する技術です。金属、セラミックス、サーメット、プラスチック等幅広い材料を吹き付けることができます。

各種溶射法の特徴

フレーム溶射

特徴 酸素・アセチレンを熱源。可搬性に富み、現地溶射が可能。
溶射材料 各種鉄金属、非鉄金属。
粉末・ロッド式によりセラミックスも溶射可能。
基材温度の上昇
(通常施工時)
100℃程度
気孔率 5〜10%
皮膜厚 ・金属 数mmまで
・セラミックス400μm以下

アーク溶射

特徴 電気を熱源にして、圧縮空気を用い、吹き付ける。
溶射材料 各種金属、非鉄金属
基材温度の上昇
(通常施工時)
100℃程度
気孔率 5〜10%
皮膜厚 ・金属 数mmまで

大気プラズマ溶射

特徴 アルゴン、窒素、水素ガスをプラズマ状態にし、得られる高温フレームにより高融点セラミックスを溶融させる。
溶射材料 各種セラミックス、粉末金属、サーメット
基材温度の上昇
(通常施工時)
200℃以下
気孔率 5%程度
皮膜厚 ・100〜1000μm

高速フレーム溶射(HVOF)

特徴 酸素、プロビレンを熱源。圧縮空気により材料を供給。得られた超音速のフレームにより高い密着力で緻密な皮膜を形成させる。
溶射材料 各種金属、各種サーメット、セラミックス
基材温度の上昇
(通常施工時)
400℃以下
気孔率 1%以下
皮膜厚 ・max 400μm程度

自溶性合金溶射(SFA)

特徴 予め溶射した皮膜を1000℃以上の加熱処理(フュージング)より、無気孔皮膜を得る。
溶射材料 ニッケル基自溶性合金

コバルト基自溶性合金
基材温度の上昇
(通常施工時)
フュージング温度まで上昇(1000〜1100℃)
気孔率 〜0%
皮膜厚 ・500〜1500μm

耐摩耗

製鉄用搬送ロール

薄板製造ラインで使用される搬送用ロール。鋼板搬送時のエッジ摩耗等への対策。

  • 溶射材料:タングステンカーバイド系サーメット
  • 概略寸法:ロール径φ1000

CFRP溶射ロール

フィルムや金属箔の製造ライン用の搬送ロール。超軽量で高剛性の特性を持つCFRPロール(炭素繊維強化樹脂ロール)に、高硬度皮膜を溶射でコーティング。独自技術により、熱に弱いCFRPロールへの溶射コーティングを製品化。

防食

配電盤

海岸地域等の腐食環境著しい場所に設置される配電盤で、塗装やめっきでは短期に腐食するため、長寿命化を目的に溶射を採用。

  • 溶射材料:亜鉛合金、アルミニウム合金
  • 概略寸法:300×1200×1800

橋脚

道路や鉄道等の橋脚で、定期的な建替えやメンテナンスが困難で、長期維持が必要である構造物に溶射が採用される。

  • 溶射材料:亜鉛合金、アルミニウム合金
  • 概略寸法: φ900×10000L

離型性

ギフコート/トンネル型枠への表面処理

鋼製のトンネル型枠の表面にセラミックスを溶射し、多孔質な皮膜を表面処理する。この皮膜内に、コンクリート剥離剤(離型油)を含浸させることにより、硬化したコンクリートと型枠が容易に脱型するとともに、コンクリート仕上り面が白く、綺麗に仕上がる。

圧胴ジャケット

プロセスインキでの両面枚葉印刷機に使用される部品で、板厚1mm以下の薄板表面にインキ離型性と耐摩耗性に優れる複合表面処理を施している。

  • 表面処理:セラミックス+特殊樹脂
  • 概略寸法:500×1000

対滑り性

スベラント®/滑り止め鋼板

鋼板上へ各種材料を溶射し、表面に微細な凹凸を形成させた「驚異的グリップ力」を持つ滑り対策用鋼板。新日鐵住金(現 日本製鉄)様との共同開発により生まれたスベラント®は、他に類を見ないグリップ力と耐久性を兼ね備えている。安全対策商品として、全国の製鉄所のみならず、多くの産業分野へ納入している。

High“μ”Plate/高グリップ アルミ溶射添板

鋼構造物の高力ボルト2面摩擦接合部において、添板側の接触面にアルミ溶射を施すことにより、従来より高いすべり係数を得られることから、高力ボルト継手のコンパクト化を意図して開発したもの。

  • 適用実績:あべのハルカス等
  • 建築技術性能証明取得済

意匠性

セラミックスカラーマンホール®

色あせ、摩耗、対滑り性が大幅に改善され、デザインの長寿命化が期待できるセラミックスカラー溶射。当社のセラミックスカラーマンホール®鉄蓋は、デザイン性を損なわず、滑りに対する危険性を十分に配慮した特徴を持つ。現在までに約300市町村、総数は3万枚を超える納入実績を持つ。

品質環境管理

統合方針

  1. 共通事項

    (1)吉川工業株式会社/表面処理事業部は、品質・環境の統合マネジメントシステムの構築に伴い、品質・環境方針を定めました。この方針を達成するために、取組事項を具体的かつ明確にした目標を設定し、進捗状況(PDCA)を確認するとともに、妥当性を毎年見直し、統合マネジメントシステムの継続的改善に努めます。

    (2)当事業部は、関連する法令、規則、協定その他の要求事項を遵守します。

    (3)統合方針は、教育や社内広報活動を通じ、全事業部員に周知するとともに、ホームページ等で広く一般に公表します。

  2. 品質方針

    (1)当事業部は、顧客より要求される「技術」「価格」「納期」「サービス」を達成し、長期的な信頼のもと、顧客とともに歩み、共に繁栄することを目指しています。 これを達成するために、第一に、顧客情報の収集(要望を含む)に努め、改善・開発すべき事項を明確化させます。

    (2)第二に、これら顧客要求事項を出来る限り早く改善し、達成します。このため、これら顧客情報は毎月開催される運営会議、技術・品質会議でも報告され、改善内容並びに開発内容を検討し、具体的推進方法を策定します。

    (3)第三に、改善・開発の進捗状況を運営会議、技術・品質会議、技研進捗会議で確認し、実現に向けて不足する人的資源、設備的資源、その他があればその確保に向けての戦略を策定し、改善・開発課題の実現に向けて最善を尽くします。

  3. 環境方針

    (1)当事業部の事業活動である研究開発、営業、製造及び技術サービスが関わる環境側面を常に認識し、環境汚染の予防を推進します。

    (2)当事業部の表面処理(改質、再生)を主体とする事業活動が自然環境の保全に資するように最大限の努力を行います。
    ①改質による素材の寿命延長及び再生による部品の再利用を図ることにより、資源、エネルギー消費の削減にさらに寄与できるように、より高度な表面処理技術の改善・開発に努めます。

    ②一般廃棄物、産業廃棄物の発生量削減に努力し、これら廃棄物の厳正な処置を行います。

    (3)事業部をあげて、6S活動(整理・整頓・清掃・清潔・躾・整備)を推進し、職場環境の改善に努めます。 本活動により、安全で安心できる職場環境を作り上げ、顧客から信頼される会社として地域社会に貢献します。当事業部の管理者の中から、統合マネジメントシステム管理責任者を任命し、必要なプロセスの確立、遂行、維持並びに目標の管理と実施状況のフォローに関する責任と権限を与え、統合マネジメントシステムを推進します。

2019年4月1日
吉川工業株式会社 表面処理事業部
表面処理姫路工場長 中村 奈穂子